Column
2026.01.20
今年からスタートする新コラム『LOSA健康ナビ』では、毎回ひとつ、体の「大切なテーマ」を分かりやすくお届けします。
2026年の新春動画のテーマは「血流を良くして 心も体もリカバリー」。
リカバリーとは、心と体を整え、回復する力のこと。
その力を支える土台となるのが、体の中の「血流」。
そして、その通り道である「血管」です。
「血管年齢が若い=安心」と思っていませんか?
実は大切なのは、血管がしなやかに働ける力=血管力。NO(一酸化窒素)と生活習慣から整えるヒントをまとめました。
今回は、血管年齢よりも「血管力」が大切――リカバリーできる体の“土台”――というテーマでお届けします。
私たちの体の中には、地球を2周半できるほどの長さの血管が張り巡らされています。
血管は、酸素や栄養を運ぶだけでなく、老廃物を回収し、体温や免疫、回復力を支える、まさに体の“調整役”。
例えば、指にケガをすると、脳はすぐに異変を察知し、修復のために多くの酸素や栄養を送り出す指令を出します。
この「すみずみまで届ける力」が、血管の役割です。
もし、この通路がうまく働かなくなると、体のあちこちで機能不全が起こり、回復力そのものが落ちてしまいます。
「エコノミークラス症候群」や「動脈硬化」も、血流の滞りや血行障害が大きく関係しています。
では、一度ダメージを受けた血管は、もう元に戻らないのでしょうか?
最近の研究で分かってきたのは、血管には“回復する力”が備わっているということです。
ここで知っておきたいのが、血管の内側にできる 「プラーク」 の存在。

プラークとは、血管の内壁(血管内皮細胞)に、脂質(悪玉コレステロールなど)や炎症による物質が溜まり、ふくらみ(こぶ)のようになった状態のことをいいます。
初期のプラークはやわらかく、自覚症状もなく進行します。
この段階では、健康診断でよく耳にする「血管年齢」では見つけにくい場合があるのです。
医学博士の 池谷敏郎 先生は、「血管年齢」よりも「血管がどれだけしなやかに働けるか=血管力」が大切だと提唱しています。1)
実際に、血管年齢は年相応でも、エコー検査をすると頸動脈に複数のプラークが見つかるケースも少なくありません。
プラークが増えると血管が狭くなり、血流が滞りやすくなります。
その結果、将来的に動脈硬化などのリスクを高める可能性があると考えられています。
では、プラークを予防・改善し、血管を若返らせるために必要なことはなんでしょう?
プラークや動脈硬化の発生を予防するためには、リスク要因を減らすことが大切です。

特に注意したいリスク因子は以下の4つ
健康な人が血管事故を起こす危険度を「1」とすると、リスク因子が一つ加わるごとに危険度が「3倍以上」になります。
リスク2つで「9倍」、3つになると「27倍」…と加速度的に増えます。
だからこそ、日々の生活習慣を見直すことがとても重要です。
血管が“回復する力”を保つ上で重要な物質のひとつが、
血管内で作られる「NO(エヌオー/一酸化窒素)」です。
NOに関する研究は世界的にも進んでおり、ルイス・J・イグナロ博士らの研究は1998年にノーベル生理学・医学賞の対象となりました。それほどまでに、NOの発見は画期的だったと言えます。
NOの働きは、例えば以下のようなものが知られています。
このように、NOは体内でさまざまな生理機能を担っていることが分かったのです。2)

NOが不足すると血管は硬くなりやすく、NOがしっかり作られていると弾力のある、しなやかな血管を保ちやすくなります。
つまり、血流を良くするカギは、「NOが働きやすい体の環境」を整えることなのです。

血圧や血糖値の乱れは、血管内皮細胞に負担をかけ、NOの働きを妨げます。
食事のバランス、塩分・糖分の摂り方を見直すことは、血管を守る第一歩です。
そこで覚えやすい合言葉が「まごわやさしい」。

豆・ごま・わかめ(海藻)・野菜・魚・しいたけ(きのこ)・いもを意識すると、自然に整いやすくなります。
毎日の食習慣は、まず「続けやすいもの」から始めるのがコツです。
例えば、ほっと一息つく時間の飲み物を、ノンカフェインのルイボスティーに置き換えるのもひとつ。
【豆知識】 ルイボスティーは、毛細血管の内皮細胞にある「Tie2(タイツー)」というスイッチを活性化し、「ゴースト血管」(血流が途絶えた血管)の復活や毛細血管の強化を助ける働きがあり、シナモンやヒハツなどと共に注目されています。
※健康維持を目的とした食生活の一部としてご活用ください。

ふくらはぎは「第二の心臓」。
ウォーキングなどの有酸素運動や、足首・ふくらはぎを動かす軽い体操など、下半身を動かすことで血流が促され、NOが作られやすい環境につながります。
また、太い血管が通る4つの「くび」――首・手首・足首・くびれ(お腹まわり)を意識して温めることも、血流改善になります。
「温める習慣を続けたいけれど、なかなか難しい…」という方は、首・足首・お腹まわりなどをやさしく包む温活グッズを取り入れましょう。
“冷えやすい場所だけでも守る”のがコツです。
ストレスや睡眠不足は、血管の収縮・拡張をコントロールする自律神経を乱します。
深呼吸、入浴、質の良い睡眠など、心をゆるめる時間も血管ケアのひとつです。

お風呂は38~40℃で10分がオススメ。
リラックスすると、副交感神経が優位になり自律神経が整い、血管をよみがえらせます。
※日々の体調管理・生活習慣のサポートとしてご活用ください。

血管は、年齢とともにただ衰えていくだけの存在ではありません。
毎日の選択によって、しなやかさを取り戻し、若返らせることができるのです。
焦らず少しずつ、習慣改善で「血管力」を上げていきましょう。
次回の LOSA健康ナビ も、どうぞお楽しみに。
<参考資料>
1) 池谷敏郎「図解 『血管を鍛える』と超健康になる!」三笠書房(2018)
2) ルイス・J・イグナロ「NOでアンチエイジング」日経BP出版センター(2007)